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すてきな版画を作るために2

  • woodcutari
  • Jan 1, 2003
  • 8 min read

Updated: Jun 8

 すてきな版画を作るためには、すてきなアイディアとやる気(動機)が必要です。短いかぎられた時間の中でどこにウエイトを置くかで出来上がりの満足度も違ってきます。そこで主に小学生向けの4時間でできるたのしい紙版画を紹介します。

 小学校1・2年の版画元年の児童を対象にした授業のサンプルを作ってみました。また、少ない授業コマ数でこの教材を効率的にこなすためには、総合学習の素材として採用するのも大いに有効だと思います。版画制作は作品に至るプロセスが長いため指導しにくい面も多々ありますしはじめての材料を前に気が散る子供も多いと思います。しかし反面その気の散り方が思ってもいなかった効果をもたらしたり、原画としての版が反転するという驚きがあったりとワクワクするとても達成感のある教材です。是非これからもどうぞ意欲的に取り組んでください。

 

 

題材

多版多色刷り紙版画 (細かい工作などの関係上B4以上の台紙がのぞましい。また、刷り紙は、レオバルキーなど厚く十分に水分を吸収しバレンの摩擦に耐え得るものがよい)

        

「ぼくは、とり。わたしは、とり」


詩の朗読を通して自分が鳥ならばどんな鳥になりたいのか? 


「自分を見つめ想像の楽しさと創造の喜びを知る」

 

 

1時間目 オリエンテーリング・詩の朗読

これからすることってなあに 

教科書や去年の版画コンクールから版画の参考例になるものをピックアップして簡単に紹介する。

そのときに使われる道具などを実際に示すと子供のやる気が出る。

今回は、色々な種類の紙材料を見せて素材も手作りにすることを強調しオリジナルとは何かを考えさせポケモンの真似事ではなく自らあみだすことは人にとってとても尊いことをほんの少しでもわかってもらう。

・・・・ただし低学年では版画の概念などをくどく説明するとあきるのでこの時間はシンプル板書


ぼくは、とり。わたしは、とり」 


じぶんが鳥だったらいったいどんな鳥だろう。どんな鳥になりたいだろう。そうぞう(イメージ)してみよう。 

にとどめる。

目をつぶってもらい、詩をゆっくりと二回朗読する。

 

詩の朗読


ぼくは鳥、わたしは鳥


ボクは鳥。とにかくスゴイ鳥。青い大空に向かって一直線に飛んでいく。

鋭いくちばしととがった爪を持っている。大きなつばさは太陽のいろと闇夜のまだら模様。月の光があたったらレモン色に変身だ。

        

わたしは鳥。虹色のふわふわの羽とピリッととんがった濃い紫の羽が混じっている。見えないくらい遠くへは飛ばない。大好きな町の空をぐるりっと飛んでお気に入りの木にお母さんの子守唄とビーチグラスを混ぜた巣をつくる。

 

ボクは鳥。ナントとりでも飛べないさ。でも丈夫な足とそれは豪華な羽を持ってる。クリクリの何でも見える目と堅いものでもバリバリかめる丈夫なくちばしを持ってる。いつも仲間の鳥とかけっこの競争をするんだ。

 

わたしは鳥。速くも走れないし飛べもしない。でもわたしの住んでいる島にはこわい狐も卵をねらう蛇もいない。だから毎日ゆっくりと長いくちばしでピンクとうす緑の自慢の羽をとかすの。そして仲間と集まってご飯を探して歌をうたう。私たちの声は島じゅうに響いて島じゅうの葉っぱを幸せにする。

 

 

さて、みんなが鳥だったらどんな鳥なんだろう。想像してみよう。これから紙を渡すのでみんなの私は鳥やボクは鳥の特徴を今度の授業まで考えて書き込こんでおきましょう。それをもとに来週は作品材料を作ります。(サンプルを見せる)

 

あまり時間を与えすぎるのも良くないので期限は次の日の朝までとする。提出された紙にはかならず先生からの感想を書き生徒個人を見ているという印象と先生も君はどんな鳥なのか知りたがってワクワクしている印象を生徒に持たせる。

        

次回予告 自然物や思いつくものを版にして自分の作品のための版画材料を作ります。(ここで初めて版材料と見本の紙を見せ参考作品をみせる)

色々な版画のテキスト・バレン・釘・ホッチキス・印鑑・ステンシル・先生の作品・紙版画材料のサンプル・プリント「ボクはとり、わたしはとり」

        

 

2時間目 手順の説明  

  1. 材料集め

外へ出て色々な葉っぱや石やなどを集める。

一人厚紙(小学生用の鋏で楽に作業できる程度の)紙3枚・毛糸・タコ糸・レースペーパー・自分で集めた葉っぱやお菓子の包み紙・アルミホイルなど

  1. 教室で・・・・予め10色くらい教師が水性絵の具を溶いておいたものを葉っぱやレースペーパーなどに塗って版画材料を作る。

 水性絵の具ブルーのコーナー・赤系のコーナー・黄色系のコーナーにタンポを浸してスタンプ状に転写できるように用意しておく。

 

 

 

3・4時間目

  1. いよいよ作品に近づく前にもう一度詩の朗読をし教師の感想を書き足した「自分が鳥ならばどんな鳥」のプリントを読ませる。

台紙に材料を切り張りし好きなように鳥を表現する

のりは台紙に適当につけてその上に切り張りを張っていく。(作業がめんどうなので切り張りの裏には付けないこと)

バック(背景の色は予め台紙に塗っておいても良いし、後からバックの色を塗ってもよい)

詩の朗読・個々人のプリント(必ず教師のコメント入り)・鋏・スティックのり・絵の具・筆

 

 

  1. 刷り

教師が予めぬらしておいた刷り紙を2人一組で静かに版の上にのせる。ポリエチレン系のビニール袋をかけたバレンで静かに版の絵の具がうまく染み込むように祈りながら刷っていく。もし版紙が立体的に仕上がっている場合はビニールをかぶせたタンポでたたきながら色を吸い取らせる。

紙を十分乾燥させて出来上がり!!!!

 

仕上げようの紙(十分ぬらしてから3時間くらい寝かせたもの、また版紙より一回り大きいものが望ましい)・バレン・ポリエチレン系ビニール袋 

 

発表と鑑賞

朝のホームルームや帰りの時にどんな鳥を作ったのか、自分はどんな鳥なのか4人づつくらい発表させる。また、発表者じゃない側の児童に感想を言ってもらう。そこで感想に詰まるような作品が出てきたらすかさず教師がフォローすること。人生を豊かに過ごすための勉強であることをまず教師がわすれない。事前に教師が感想に詰まる作品がある場合はご相談ください。ここで偶然の面白さや計画の素晴らしさを印象付け次年度への版画や全ての創作作業への動機にもっていければ大成功だと思います。


詩に関しては、現場の情況に合わせて担任が詩作してください。



プリントサンプル

ぼくは鳥、わたしは鳥              

        

ボクは鳥。とにかくスゴイ鳥。青い大空に向かって一直線に飛んでいく。

鋭いくちばしととがった爪を持っている。

大きなつばさは太陽のいろと闇夜のまだら模様。

月の光があたったらレモン色に変身だ。

        

わたしは鳥。

虹色のふわふわの羽とピリッととんがった濃い紫の羽が混じっている。

見えないくらい遠くへは飛ばない。大好きな町の空をぐるりっと飛んでお気に入りの木に

お母さんの子守唄とビーチグラスを混ぜた巣をつくる。

 

ボクは鳥。ナントとりでも飛べないさ。

でも丈夫な足とそれは豪華な羽を持ってる。

クリクリの何でも見える目と堅いものでもバリバリかめる丈夫なくちばしを持ってる。いつも仲間の鳥とかけっこの競争をするんだ。

 

わたしは鳥。速くも走れないし飛べもしない。でもわたしの住んでいる島にはこわい狐も卵をねらう蛇もいない。だから毎日ゆっくりと長いくちばしでピンクとうす緑の自慢の羽をとかすの。そして仲間と集まってご飯を探して歌をうたう。私たちの声は島じゅうに響いて島じゅうの葉っぱを幸せにする。

 

 

 

年  組   名前    

さぁ、きみが鳥だったらどんな鳥なんだろう。目をつぶって想像してみて。

さぁ、きみが鳥だったらどんな鳥でいたいだろう。腕をくんで考えてみて。

羽の色はどんな色? くちばしや目はどんなふう? 何を食べるの? どこを飛ぶの?

どこを走るの?  思いつくままに文字で書いて見ましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

せんせいより

 

 



準備物


ナカムラ アリ

台紙30枚(A4程度の大きさ・レオバルキー)・刷紙30枚(予め濡らしてあるもの)

原材料(葉っぱ・キャップ・アルミホイル・レースペーパー・コルク・石ころ・紐 など)


教師持参物

ハサミ・筆記用具・水性サインペンなど・


日専連

レジュメコピー人数分・詩のサンプルと作品をA4にまとめてカラーコピー人数分

バレン人数分・小ポリ袋人数分×2(一つはゴミ袋として使用)・スティックのり人数分・新聞紙5日分・模造紙(教師用のテーブルにコーティング)・ガムテープ1巻き・ホワイトボード1

マグネットor セロテープ小・マイク・湯のみ茶碗8個・筆8本・水バット(水入り)・バケツ2個・フキン2枚・先生用の名札シール

原材料

作品サンプル(インドウさん・トウドウさん・アズマさん) 版下紙∩作品 小さければA3程度にカラーコピーで引き伸ばして掲示+3人のサンプルプリント(アリのコメント付)

版材料 23人×3枚 69枚分 A4程度のもの 普通の薄口画用紙70枚


・・・・・・・・問題・・・・いつどこで版材料を作りますか?・・・・・・・・・・・・

Ⓒ2025 Ari Nakamura. 

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