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Gallery Ari

小樽・ダニーデン姉妹都市美術交流展

  • Writer: Ari Nakamura
    Ari Nakamura
  • Sep 30, 1996
  • 2 min read

Updated: 2 hours ago


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会期 1996年9月30日(火)〜1996年10月13日(日)

会場 オタゴ・アート・ソサイエティ・ギャラリー


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マグナ・マータ


 鬼丸教授の美学によって、魅力的なマグナ・マータに出会ったのは、大学2年のときである。それまでにも「石のビーナス」は知っていたはずだが、中学の歴史授業では、美しいとも、魅力的とも、ましてや芸術的などと感じはしなかった。しかし、鬼丸美学の授業が終わったころに、わたしはすっかりマグナ・マータの虜になっていた。


 マグナ・マータとは、母なる大地の女神である。太古の昔から豊穣の神として色々な場所で繰り返し受け継がれてきたテーマだ。そして「石のビーナス」は本能が原始宗教という名を借りて芸術になった、非常にわかりやすい例なのである。社会がどんなに複雑化し、人間が社会的動物であろうとして、知性や理性を磨いても、結局は生まれて死ぬ。しかし、人間社会が存続していくと、個々の理想や思想が体系をもって、まるでアメーバが増殖し続けるように、個々の人間の死にもかかわらず存在し続ける。そこで、何を生み出すのかだけが問題になっていく。マグナ・マータの喜びと悲しみと果てしない不安が、生という力強いものと複雑に入り交じった時には、風、太陽、枯れ葉、そして大地になる。


 わたしはマグナ・マータの表現方法としてモチーフに女性を使う。トルソだったり、幼い少女だったり、妊娠線もあらわな妊婦だったり。女体はわかりやすく絶対的に親しみやすい。何故なら人は必ず母から生まれてくるのだから。


 テーマをマグナ・マータとして制作活動をはじめてから11年が経過した。彫刻でのプリミティブなマータから始まって、女性の神性をひろいだした「’88 さまざまなマータ」、アジアの精神性を重ね合わせた「’93 アジアンマータ」、北方文化圏を意識した「’95 MOON」。マータはわたしの中で色々なサブテーマを伴って広がり、そしてまた最も根源的なものに帰っていくのだろう。見る側の問いかけに、自在に答えるような、逃げてほしい時には走り去り、抱擁が必要な時にはしっかり抱いてくれる、そんな作品を作りたい。


ナカムラアリ

1996/4/1

Ⓒ2025 Ari Nakamura. 

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